2020年現在、数多くの外国人が日本を訪れています。
観光で来る人もいれば、就労目的できたり、日本の技術を学びに来たりする人もいます。様々な場所で外国人を見かける機会は増えたのではないでしょうか?
観光で日本に来るのはそこまで難しくないのですが、日本に『住む』ということは簡単ではないです。日本で住む・生活するためには、どのような目的で日本に来ているかを出入国在留管理庁(通称・入管庁)に申請して【在留資格】というものを認定される必要があるのです。
その【在留資格】とはどういうものなのか? ビザと呼ばれているものとの違いとは何なのか? 在留資格を取得するまでの流れはどうなっているのか? などをこのページでは徹底解説していきます。
ビザ(査証)とは?
ウィキペディアによると・・・
査証(さしょう)またはビザ(英: visa、仏: visa、露: Виза、西: visa、中: 签证/簽證)とは、国家が自国民以外に対して、その人物の所持する旅券が有効であり、かつその人物が入国しても差し支えないと示す証書である。多くの国では入国を保証するものではなく、入国許可(上陸許可)申請に必要な書類の一部となっている。大多数の国が同様の制度を運用しているが、同時に一定の条件内で査証免除が行われている場合が多い。
と書かれています。
このビザ(査証)は、海外各国にある日本大使館や領事館が発給するものです。大使館や領事館では、ビザ(査証)申請にきた外国人の所持しているパスポートが有効であるという確認を行います。そして、その申請にきた外国人が日本に入国しても大丈夫という推薦をします。
『この外国人はパスポートが有効で、日本に入国することを推薦します!』という証明証が、ビザ(査証)というものです。
在留資格とは?
次に【在留資格】とは何なのかを解説していきましょう。
日本では出入国管理及び難民認定法(入管法)とその下位命令(施行規則)により規定されており、30種類以上(2020年1月時点)の在留資格が存在します。
日本で生活する外国人は、このいずれかの在留資格を認定されています。
30種類以上の在留資格は、許容される活動内容や地位・身分等によって、次のように分類することができます。
「身分・地位に基づく在留資格」
「就労が認められる在留資格」
「就労の可否は指定される活動による在留資格」
「就労が認められない在留資格」
です。次にこの4つに分類された項目とその項目に当てはまる在留資格をみていきましょう。
「身分・地位に基づく在留資格」について
永住や結婚、歴史的な経緯や難民指定などにより得られた「身分と地位」にもとづく在留資格です。
就労するときに業種や期間の制約がありません。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
永住者 | 永住許可を受けた者 | 無期限 |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者・実子・特別養子 | 5年、3年、1年、6ヶ月 |
永住者の配偶者等 | 永住者・特別永住者の配偶者,我が国で出生し引き続き在留している実子 | 5年、3年、1年、6ヶ月 |
定住者 | 日系3世,外国人配偶者の連れ子等 | 5年、3年、1年、法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲) |
「就労が認められる在留資格」について
外国人が法務省から「日本で行う活動」を認められて、付与される在留資格です。
このうち、就労できる在留資格(就労ビザ)は、下の一覧表の通りです。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
外交 | 外国政府の大使,公使等及びその家族 | 外交活動の期間 |
公用 | 外国政府等の公務に従事する者及びその家族 | 5年、3年、1年、30日、15日 |
教授 | 大学教授等 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
芸術 | 作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、写真家など | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
宗教 | 僧侶、司教、宣教師等の宗教家など | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
報道 | 新聞記者、雑誌記者、編集者、報道カメラマン、アナウンサーなど | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
高度専門職 | ポイント制による高度人材。1号と2号がある。 | 1号→5年 2号→無期限 |
経営・管理 | 会社社長、役員など | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
法律・会計業務 | 日本の資格を有する弁護士、司法書士、公認会計士、税理士など | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
医療 | 日本の資格を有する医師、歯科医師、薬剤師、看護師など | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
研究 | 研究所等の研究員、調査員など | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
教育 | 小・中・高校の英語教員など | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
技術・人文知 識・国際業務 |
理工系技術者、IT技術者、外国語教師、通訳、コピーライター、デザイナーなど | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
企業内転勤 | 外国の事務所からの転勤者 | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
介護 | 介護福祉士の資格を有する介護士など | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
興行 | 演奏家、俳優、歌手、ダンサー、スポーツ選手、モデルなど | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
技能 | 外国料理の調理師、調教師、パイロット、スポーツ・トレーナー、ソムリエなど | 5年、3年、1年、3ヶ月 |
特定技能 | 技能実習生(特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能、熟練した技能を要する産業に従事するもの)1号と2号がある。 | 上限5年(4ヶ月、6ヶ月、または1年ごとの更新) |
技能実習 | 技能実習生(海外の子会社等から受け入れる技能実習生、監理団体を通じて受け入れる技能実習生) 「技能実習生イ」と「技能実習生ロ」がある。1号・2号・3号とある。 |
1号→1年 2号→2年 3号→2年 |
「就労の可否は指定される活動による在留資格」について
出入国管理及び難民認定法(入管法)上、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」とのみ定義されています。
特定活動のどの内容で入国しているかは、外国人のパスポートに貼付された「指定書」で確認することができます。就労が許可されている内容と、そうでない内容が混在します。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
特定活動 | 外交官等の家事使用人、ワーキングホリデー入国者、報酬を伴うインターンシップ、EPAに基づく看護師、介護福祉士候補者など | 5年、3年、1年、6ヶ月、法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲) |
「就労が認められない在留資格」について
基本的には就労が許可されていません。
資格外活動許可を受ければ、一定の範囲内の就労が認められるものがあります。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
文化活動 | 「我が国特有の文化又は技芸」について専門的な研究や修得を行う人 | 1年又は6ヶ月 |
短期滞在 | 観光、商用、知人・親族訪問などのために90日以内の滞在をし、報酬を得る活動をしない短期滞在者 | 90日、30日又は15日 |
留学 | 大学、専門学校、日本語学校などの学生 | 4年3ヶ月、4年、3年3ヶ月、3年、2年3ヶ月、2年、1年3ヶ月、1年、6ヶ月、3ヶ月 |
研修 | 研修生 | 1年又は6ヶ月 |
家族滞在 | 就労ビザなどで日本に来た外国人の配偶者や子供 | 5年、3年、1年、30日、15日 |
在留資格認定証明書とは?
ビザ(査証)は外務省管轄である海外にある日本大使館または領事館で、外国人のパスポートの有効性を確認して、出入国在留管理庁に在留資格の付与を推薦するものでした。
観光のように短期間の滞在であれば、パスポートの有効性から判断してビザ(査証)を発給することができます。ですが、数ヶ月以上と長く滞在する場合には、パスポートだけでは判断が難しい場合があります。
そこで出入国在留管理庁が、日本に入国しようとする外国人が日本でどのような目的で、またどのような活動をするのか、出入国管理及び難民認定法(入管法)で定められた在留資格のいずれかに該当する活動であることを審査します。そして審査を通過して、法務大臣がこれを証明します。
その法務大臣が出す証明書のことを『在留資格認定証明書』といいます。
- 出入国在留管理庁で在留資格認定証明書の交付
- 海外の日本大使館または領事館にて、ビザ(査証)の発給
- 日本入国の際に出入国在留管理庁が在留資格の付与
という流れになります。
在留資格認定証明書の画像
在留カードとは?
日本で中長期の滞在をする場合に外国人に交付される在留資格を証明するものが『在留カード』です。
在留カードは、3ヶ月未満のような短期滞在の場合は発行されず、就労や留学などの適法な在留資格を所持している場合に発行されます。
新千歳空港,成田空港,羽田空港,中部空港,関西空港,広島空港及び福岡空港では、その空港にて在留カードが交付されます。その他の空港で入国した場合は、入国後に市区町村に届け出た住居地あてに簡易書留にて、在留カードが郵送されることになっています。
在留カードの画像